株式会社・合同会社の設立、電子定款、議事録作成/法人設立(医療法人・NPO法人・一般社団法人)/各種許認可(建設業・運送業・倉庫業・介護事業)の新規申請、決算届、変更届/帰化申請・韓国証明書・韓国戸籍(除籍謄本)のハングル翻訳
 
 会社法の成立によって最低資本金の制度が撤廃され、個人事業主や起業家が容易に株式会社を設立することができるようになりました。
 バブル崩壊後の日本経済の再復興という点では、『会社法』の成立は喜ばしい。各種の手続きに携わる私たちにとっても、これまで以上に会社設立に携わることができ、各種の分野で実績を積むことができたことは、皆さまのおかげであります。
 しかし、少ない資本金で容易に会社を設立することができるからといって、諸手を挙げて喜んではいられない事情も、実はあるのです。
 許認可事業を営んでいる事業主であれば、それぞれの許認可の登録に、財務的条件が定められていることは、ご存じのことと思います。
 その財務的条件より少ない資本金で新たに会社を設立し、さあ、許認可の申請をしようと思ったところ、申請窓口の担当者に「資本金の額が財務的条件を満たしていないので、申請することができません」と言われ、冷や水を浴びせられてしまうことはよるある話なのです。
 少し例を挙げて、説明しましょう。
 【一般建設業の場合】
 建設業の許可を取得するためには、「財産的基礎」の条件として、500万円以上の資金調達能力の有無が審査されます。
 もし、500万円未満の資本金の新設会社が、この申請をしようとすると、改めて500万円以上のお金を会社名義の預金口座に預けて、その銀行から残高証明書をもらって、それを提出しなければなりません。
 設立時に資本金を500万円にしておけば、会社設立後から初回の確定申告時期までに建設業の許可を申請するなら、「財産的基礎」の条件は、資本金ですでにクリアーされていますので、銀行に現金を預けて、残高証明書をもらうことは必要ないわけです。
 すでに事業を営んでいる会社が、建設業許可を新規で申請する場合は、直近決算の貸借対照表の純資産の部の合計額が500万円以上であればOKですが、これを下回ると申請直前の銀行預金残高証明書で500万円以上あることを証明しなければなりません。
 【貨物運送業の場合】
 もっと厄介なのが貨物運送業(正確には一般貨物自動車運送事業)です。
 「事業開始に要する資金」の計算が求められ、車両費の全部(リースなら1年分)、施設賃借費用の1年分、人件費の2か月分等々の算出、その合算額が算定出来たら、その50%以上の資本金(既存会社なら、直近決算の純資産の部の合計額)の会社であることが申請の条件となります。
 そして更に厄介なのが、建設業のように、会社名義の口座に預金残高が確保されていれば済む訳ではなく、貨物運送業の場合は、資本の増強に伴う増資の手続きが必要になることです。
 また、旅客運送業の場合は、「資本金+融資額」の調達可能性が問われますので、貨物運送業と若干相違するところもありますが、貨物利用運送事業であれば、上述の貨物運送業に属する登録ですので、同様の考え方となります。
 資本金や純資産合計額ではなく、営業利益が問われるのは、産業廃棄物収集運搬業ですが、この話は、別の機会に詳しく述べたいと思います。
 まとめ
 ともかく、会社設立が終わってから、許可・認可の申請をした途端、「増資が必要です」と言われなういようにするためには、会社を設立する前から万全な計画を立てて行う必要があるのです。
 確かに、資本金1円で会社を設立できるようになりましたが、あなたがこれからどんな事業を営もうとしているのか、その事業は、許可・認可の取得が必要なのか、その条件はどうなっているのか、場合によっては、創業時に合わせて融資を受ける必要があるのではないか等々、よく調べ、よく考えてから行動を起こすことが大事なのです。
 エール総合事務所は、法律上のアドバイスだけでなく、その事業の実態に即したコンサルを行うことを前提に、サポート致しますので、とにかく一度、ご相談してみてください。
 きっと、今まで知らなかったことや、聞いてみて良かったと思っていただくことができると思います。